研究概要 |
構造が簡単で保守も容易であるという特長を持つダリウス形横流水車による超低落差水力エネルギーの有効利用を考え、1)高性能設計法,2)高効率運転法,3)設置計画法の確立を目的として調査し,次のような主な成果を得た。1.ランナ翼性能について:高効率となる最適翼形状と翼取付け姿勢に関する設計指針として,形状は翼厚みが薄く翼弦長が比較的長い反りなし対称翼が好適で、取付け姿勢は翼の50%弦長点で翼弦がランナピッチ円に接するように決めるのがよいことを明らかにした。一様流中を静止している翼と円運動しているダリウス翼との運動学的違いを考慮に入れた,精度良い翼性能推算法を提示した。ダリウス翼のキャビテーションに関する吸込み限界と運転条件に関する予測法と設計指針を示した。翼枚数の増加は最高効率の減少と最高効率点の低速度比側への移動をもたらすことがわかった。2.流路とランナの形状について:ダリウス翼の翼端効果によるランナ性能低下防止策として翼端板の設置,並びに好適翼支持法を提案した。導入管・ランナケーシング・吸出し管の形状撰定指針を示した。3.自己起動性と運転特性について:自己起動から定常運転への移行過程の数値シミュレーションプログラムを開発し,二次元ダリウス形ランナは自己起動することおよびシステムの安定運転にはスルース弁等による落差の制御が必要であるを明らかにした。増速機と発電機の特性と損失トルクを定量的に明示し,ランナ出力特性とのマッチングに関する問題点を指摘した。4.ダリウス水車設置計画について:現段階までの調査結果をもとに水車発電システムとその全体構造の設計手順を整理し,既存の水車形式との比較および選定指針を得た。以上により低落差水力利用システムの開発とうい当初の目的は達成できたと考えるが,本水車の実用化推進には更なる効率向上が望まれる。そのため積み残された問題点を今後も引続き研究する予定である。
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