研究概要 |
本研究で得られた成果の概要をまとめると以下のようになる。 1.加熱光源にCO_2レ-ザ-を使用した強制レイリ-散乱法装置の設計・製作し,染料を添加することなしに,各種の液体の熱拡散率が原理的に測定できることが確認された。装置の特徴としては,干渉縞間隔を液体から固体までの広範囲の試料を対象とするため,20μmから300μmの範囲で可変になるようにし,また,レ-ザ-ビ-ムを試料に対し水平だれけでなく,垂直にも照射出来るような光学系の工夫も行った。 2.上記装置によって,まず透過型加熱方式での問題点を検討するために,液体による測定を行った。標準試料としては,トルエンと水を用い,常温範囲で測定した。セル容器としてはZnSeを使用した。パラメ-タとしては,干渉縞間隔,試料厚さ,加熱時間等を変化させて実験し,熱伝導問題および光学的問題による誤差要因が最小になるような設定条件を得た。 3.セルの窓を必要としない自由表面加熱方法を新たに開発した。この方法により,標準試料である水とトルエンの測定を行い,原理的に適用が可能であることが明かとなった。 4.自由表面加熱法により測定される熱拡散率の誤差評価を行った。今回検討した項目は,加熱ビ-ムと観察ビ-ムの中心のズレにより影響,自由表面を持つ液体試料の厚みの誤差などである。 5.3元系共晶塩(Li_2CO_3ーNa_2CO_3ーK_2CO_3=41.5:31.5:25.0mol%)の測定を試みた。サファイアガラスセルを使用し,677Kから970Kの温度範囲で再現製±10%以内で測定ができた。この温度範囲でのデ-タは本研究が初めてであり,温度に対してほぼフラットな依存性を示している。
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