研究概要 |
本研究の目的は,種々の障害物中を分離閉塞なく充填できる,締固め不要のコンクリ-トの一般的配合設計法を確立することであり,その評価方法の確立および材料・配合と充填性能の関係の定量化を目指し,実験および解析を行った。本研究で得られた成果を以下に纏める。 1.充填性評価試験の開発 実際の構造物の配筋詳細や施工方法を考慮した充填性評価試験の開発を試みた。材料分離を促進させる条件として,落下・長距離流動・鉄筋障害を取り上げ,それぞれがコンクリ-トの材料分離のし易さに及ぼす影響を調べた結果,鉄筋障害が最も厳しい条件であることが明らかとなった。そして,コンクリ-トの変形性を評価するスランプフロ-試験,変形速度を評価するロ-ト試験および鉄筋障害の通過し易さを評価する間隙通過試験により充填性能を評価可能であることが明らかとなった。また,施工現場におけるコンクリ-トの受入れ試験についての検討も行い,間隙通過試験の応用により,トラックアジテ-タ車とポンプ車の間で,コンクリ-トの全量チェックを行えることが示された。 2.コンクリ-トの充填性予測 鉄筋障害等の間隙を通過する性能を予測するモデルの構築を行った。既ち,間隙における骨材閉塞の危険度と圧力不足により充填不能となる変形性の状界値を材料特性および配合より予測できるモデルを構築したのである。さらに,間隙通過試験により,そのモデルの妥当性の検証を行った。 3.締固め不要コンクリ-トの材料・配合設計システムの構築 充填性予測を行うための各材料特性値を評価するための試験方法を開発し,さらに,硬化後の耐久性をも考慮した材料・配合設計システムの構築を行った。このシステムにより,締固め不要であり,且つ要求される耐久性能を持つコンクリ-トを設計することが可能となる。
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