研究課題/領域番号 |
02557022
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
名和 行文 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (10040172)
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研究分担者 |
大橋 眞 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (40128369)
堀井 洋一郎 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (80173623)
今井 淳一 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (00039918)
丸山 治彦 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90229625)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1991年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 糞線虫症 / ワクチン / ペプチド / Strongyloides ratti / Dirofilaria immitis / 抗原 / 好中球 / 遊走因子 / ウェスタンブロット |
研究概要 |
ヒト糞線虫は複雑な抗原成分をもっており、しかも材料の採集が極めて限定される。そこで我々は免疫学的に交差反応を示すネズミ糞線虫(Sr)を出発材料とし、好中球遊走因子(NCF)に狙いを絞って精製を試みた。DE52陰イオン交換カラムとSW3000高速液クロにより活性分画が得られた。また、DE52分画をProcion Redカラムで分画しても活性分画が得られた。しかしながらSDSーPAGEではどちらもまだ多様な成分を含んでいた。また、Sr幼虫よりmRNAを分離しcDNAライブラリ-作成を試みたが約5000の独立クロ-ンしか得られず、スクリ-ニングを行なうことができなかった。そこで、既に精製されているイヌ糸状虫(Di)NCFを利用することを考えた。ウェスタンブロットでDiーNCFエピト-プが多数のSr抗原と交差反応性を有することが判り、これを利用して遺伝子のクロ-ニングができる可能性がひらけた。まず、DiーNCFをコ-ドするcDNAのクロ-ニングを試みた。オリゴdTカラムによりDi成虫からpolyAーRNAを分離し、cDNAを作成してEcoRIアダプタ-を結合してλgT11のEcoRIサイトに挿入した。これから20万クロ-ンのcDNAライブラリ-を作成し、抗DiーNCF抗体を用いてクロ-ニングを繰り返した。ファ-ジDNAを精製し、EcoRI処理後電気泳動を行なって0.7ー2.0KbのものをBluescript SK(-)にサブクロ-ニングし、M13プライマ-を用いてジデオキシ法にて塩基配列を決定した。また、精製DiーNCFのN末アミノ酸配列を45残基まで決定し、各クロ-ンの塩基配列より推定されるアミノ酸配列と比較したところ、サブクロ-ンpD4の5'末から268番目より402番目までを翻訳した部分に完全に一致することが判った。また、これからオ-プンリ-ディングフレ-ムは5'末から166番目より606番目で、34個のアミノ酸残基から成るリ-ダ-シ-クエンスと112アミノ酸残基のDiーNCF分子をコ-ドしていることが判った。ホモロジ-検索で、99番目より102番目までの配列(MetーPheーLys,fMetーPheーLys)が好中球遊走性ペプチドと類似していることから、この部分が活性エピト-プとなっていると考えた。実際、固相法により合成したMetーPheーLys,fMetーPheーLysは既知のペプチドより低濃度で活性を示した。pD4を高発現型プラスミドベクタ-pGEM EXにサブクロ-ニングしgene10との融合蛋白を作成したところ、この蛋白はDiーNCFと同様の抗原性と好中球遊走活性を示した。この融合蛋白で免疫したマウスは予想に反してフィラリア(B.pahangi)に対する感染感受性がコントロ-ルマウスより高くなっていた。これはDiーNCFに対するブロッキング抗体などの免疫抑制反応が強く誘導されたためと考えられる。今後更に用いるアジュバントの種類や免疫のル-ト、スケジュ-ルなどを検討する必要がある。
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