研究概要 |
本報告は,ウォ-タ-ジェットカテ-テルを用いる新しい血管形成術(アンギオプラスティ)についての開発およびシステム構築に関する研究をまとめたものである.実施した研究項目は次のとうりである. 1.カテ-テルノズルの形状と耐圧性:ノズルの形状は,溶液の粘性抵抗やノズルの加工の精度などを考慮に入れると,現在の0.2から0.3mm位が適当と結論された.そして耐圧・流量の性能試験から,試作カテ-テルは30ー40kgf/cm^2までの圧力に耐え,目的とする用途には充分であることが判明した. 2.血栓および粥腫除去に要するジェット圧の検討:麻酔下の家兎大動脈の血栓と,上行大動脈に発生した粥腫を対象とした.ジェット圧はジェット溶液の物性(主に溶液の粘性)やノズル口径に大きく影響されるが,圧としては最高10kgf/cm^2で十分であることが判明した.そしてこの結果から,ウォ-タ-ジェットによる血栓の破壊作用とその特徴について考察した. 3.ジェット溶液と噴射法の検討:各種医薬用輸液の噴射作用,とくに高粘性溶液の噴射特性と作用効果についてモデル実験を行った.高粘性溶液は,生理食塩水等と比べ血栓の除去や粉砕効果に優れた効果を示した.また水中噴射法は極めて安全性が高いことが判明した. 4.ウォ-タ-ジェット法システムと血管形成術への適応:実用上の検討から,本法の応用は(a)一般外科的応用,(b)非観血的な手術法としての内視鏡的手術法,(c)内視鏡的血管形成術,(d)X線透視下血管形成術の四つに分類できる.そして血管形成術のシステム適応は次のようにまとめられる.a)急性期の症例を対象.一般外来や救急外来における検査時の診断において,直ちに治療し,早期快復を計るもの.b)慢性の経過をたどった症例あるいは重症例にたいする本格的手術.これはon lineで逐次モニタ-しながら治療する.on lineのモニタ-は,ジェットによる血栓の除去状態を治療前の画像と比較して表示し,さらに除去された血栓の推定容積の計算と開通率などの各種パラメ-タ-の表示を合わせ行う.
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