研究概要 |
本年度が当該研究の最終年度にあたるので,過去3年間の総括を行ないたい.当初の研究目的は,ヒトの移動軌跡を測定するためのシステムを開発することであった.そのシステムは,(1)歩行センサによる移動量,および(2)方位センサによる移動方向変化の両者を時系列的に計測する機能をもつと規定した.まず(2)については,適切なセンサを見出すのが困難であり,研究年度内では実現に至らなかった.しかしながら,技術的にはそうした方位計測は可能であり,今後の課題としたい.(1)の移動量計測については万歩計のセンサと1チップ・マイクロコンピュータを接続することにより,小型・軽量の移動量計測システムを構成することができた.これを測定対象者に装着することで数秒〜数十秒の任意の時間間隔での歩数計測が長期間連続して行なえるようになった.このシステムは,主として小学校児童を対象に,オープン学習場面を含む学校生活時間帯の活動量測定に適用された.その結果,活動水準に関する個人差,性差がなどが的確に把握できること,またそれらが学校生活の時間スケジュールと相互作用しており,しかも児童間の比較からある程度の類型化を行なえる可能性など,多くの知見を得ることができた.これらの知見は従来にない新しい教育研究の視点と方法論を示唆するものであり,本研究で開発されたシステムの有用性はそうした研究の展開によって今後一層高まるものと期待される.
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