研究課題/領域番号 |
02610006
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
神野 慧一郎 大阪市立大学, 文学部, 教授 (10046948)
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研究分担者 |
川添 信介 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (90177692)
中才 敏郎 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (20137178)
小林 道夫 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (10137177)
塩出 彰 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (20039134)
藪木 栄夫 大阪市立大学, 文学部, 教授 (10047285)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1991年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1990年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | バイオエシックス / 生命 / 心 / 動物倫理 / 脳死 / 心身問題 / 生命概念 / デカルト主義 / 心身二元論 / 生命の質 |
研究概要 |
本研究の目的は、最近とみに人々の関心をひいているバイオエシックスの提起する諸問題に答えるために、生命に関する基礎的な概念を検討し直そうというものである。すなわち、本研究は、知的な諸伝統の中に見られるいくつかの代表的な生命概念を鮮明な形で取り出そうという試みのみならず、最近の科学上の諸研究の成果に立って、生命や心の概念を理解する方法が拡張されたときに生じていくる倫理上の問題を検討する試みを含んでいる。 1.前者に属するものを歴史的順序に沿って言えば、塩出の古代ギリシアにおける「心」の概念の検討、芦名のキリスト教創造論における生命概念の理解の研究、川添のトマス・アクィナスにおける個体死の理解、小林のデカルトやライプニックに見られる生命概念の検討などである。これらの研究によって、現代のバイオエシックスの諸問題の前提となる生命に関わる諸概念、諸思想が従来常識的に考えられてきたほど単純ではないことが明かにされ、また現代のバイオエシックスの背景をなす錯綜した問題状況がかなりの程度明瞭にされた。 2.最近の科学的諸成果を取り入れて心の概念を見直すときに生じる倫理的問題の検討。これについて神野は、特に最近の行動生物学の見地から心の問題を見直すとき、人間と動物の区別が甚だむつかしい問題を含んでいることを示した。知性をもつかどうかで動物と人間を区別できないということは、動物に対するわれわれの在り方、すなわち動物倫理についての考察を促す。この点について中才は、P.シンガ-の議論を批判するという形で、倫理の基礎をどこに置くかを再考している。また藪木は、脳死の成立を認めた上で脳死の判定は心臓死を必ずもたらす脳幹部の致命的損傷の程度をもって定めるべきであると論じる。以上、西洋の知的な諸伝統の中の代表的な生命概念の検討と最近の科学的諸成果を総合することによって、生命倫理の基本問題の検討がなされたのである。
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