研究課題/領域番号 |
02610014
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
印度哲学
|
研究機関 | 北海道武蔵女子短期大学 |
研究代表者 |
向井 亮 北海道武蔵女子短期大学, 教授 (70002194)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1991年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 瑜伽師地論 / 摂釈分 / 摂異門分 / 摂事分 / ラムリムチェンモ / シャマタ / 九住心 / 雑阿含経 / マハ-・ス-トラ / 成唯識論 / ア-ラヤ識 |
研究概要 |
本年度の研究においては、およそ次のような成果を得た。 1.瑜伽行唯識学派の基盤的文献たる『瑜伽師地論』の、その五部門のうちの後半部三部門ーー「摂釈分」「摂異門分」「摂事分」ーーについて、(1)その組織立ての思想と、(2)そこに依用される文献とを調査し考察した。(1)については、当『論』自体に存する摂頌(ウッダ-ナ)による科文を作成し、(2)については、『雑阿含経』を中心に検索した。 2.上の三部門のうち、特に「摂異門分」については、そのサンスクリット写本の断簡を、現ライデン大学ケルン研究所の松田和信客員研究員の協力を得て解読し、校訂することができた。 3.『瑜伽師地論』の思想が後代に与えた影響を、インド仏教に直接連なるチベット正統仏教に当たって調べ、ツォンカパの主著『ラムリムチェンモ』(『菩提道次第広論』)の枢要部「止観」の章の「止」(シャマタ)の所説が『瑜伽師地論・声聞地』のそれを多く依用し、かつ、その組織立てを『声聞地』の第三・四瑜伽処のそれに依拠していることを解明した。 4.以上の調査・研究から、大乗仏教の哲学思想の組織化の過程において、阿含経典とそれ伝持した部派の教義とが与えた影響の大きさを、具体的に(1)阿含の〈空〉観・〈十二支縁起〉説と大乗のそれとの関係、(2)〈止観〉の「九住心」の阿含的背景、(3)阿含経典の定型句の解釈の大乗的意味、などの点から検討することができた。 以上の成果は、その3、4、の一部については既に公表したが、その他については、「研究成果報告書」や学会誌「印度哲学仏教学」(第7号)などで順次公表する予定である。
|