研究課題/領域番号 |
02610031
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
細川 徹 東北大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (60091740)
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研究分担者 |
山田 嘉明 東北大学, 医学部附属病院鳴子分院, 助手 (80200757)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 視覚的注意 / 反応時間 / 事象関連電位 / 大脳半球優位 / 脳損傷 / 不安得点 |
研究概要 |
連続する2つの視空間刺激(形と色の2次元から成る幾何図形)に対する注意の偏りを調べるためCNVパラダイムを用いた反応時間(利手あるいは非麻痺側手)実験を行なった。課題は単純反応時間(SRT)、刺激属性1次元のgo/nogo型選択反応時間(CRT1)及び2次元の反応時間(CRT2)であった。(1)健常者(大学生)のRTはSRT<CRT1〓CRT2の順で、いずれの課題でも第1刺激が左視野(右半球賦活)、第2刺激が右視野(左半球賦活、利手=右手による反応)提示のときRTは最も短縮した。左右を問わず同一視野連続提示のRTは延長した。この結果は覚醒の右半球優位説(Heilmann)と同一場所連続刺激による抑制説(Berlucchi)と矛盾しない。事象関連電位の測定ではCRT1のP300(潜時・振幅)は、go条件で速く大であるのに対し、CRT2のP300はnogo条件で速く大であり交互作用が認められた。CRT2では標的出現確率が40%であることを考え併せると、運動反応を実行するときより抑制するときの方が心理的負荷が大である可能性がある。但しこのことと不安得点(MAS)との関係については未だ分析していない。(2)脳損傷患者のRTはSRT<CRT1<CRT2の順で、2つの選択反応時間が明確に分離した。考慮すべき刺激属性次元が増えると課題はより困難となるのは当然のことだが、脳損傷はこの効果を顕在化させる。また左半球損傷患者は左手(非利手)使用にも拘らず、右半球損傷患者(右手=利手使用)よりSRTが短かく、課題処理が右半球機能により依存することを示唆した。一方、CRT1と2では左右半球損傷患者のRTはほぼ同程度となり,弁別過程への左半球機能の貢献が伺われた。両群とも第2刺激が損傷同側視野(すなわち非損傷半球)に提示されたときRTが短縮し、健常者で見られた抑制効果は明瞭ではなかった。全体として年令が若いほど、発症からの期間が短かいほどRTは短かく、不安得点が高いほどRTは遅延する傾向があった。
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