1.教師の学級指導の仕方により、学業不適応児の学級内地位、自己像や学級への適応は異なるという筆者の今までの研究から明らかになっている。本研究では、比較的経験年数の少ない教師に研究協力者として参加を依頼し、彼らの成長を援助する現実的助言指導を行い、それがその後の教師の学習指導・学級指導にどう効果を持ち、児童の学級認知や適応に反映されるかを、力道的に検討しようとしたものである。 2.5名の比較的教師経験の少ない小学校5年生の担任教師を選定したが、公務等の都合により全調査・研究討議・研究成果の資料収集に協力を得られたものは3名であった。 3.学級編成初期の1学期に児童の学級認識と教師の児童認識の特性を調査した。その後、原則として毎月1度の割合で全員で集まり、各学級の特徴・教師の児童把握の特徴を説明し、その改善のための方策を検討した。同時にそれぞれの教師が現在抱えている課題や悩みを他の研究者の参加も要請しながらその解決策を検討した。 4.2学期には、算数の図形領域の授業を行動観察し、学級の特徴や教師の指導の特徴を客観的に捉え、それぞれの個性を活かす形で改善する方向で助言し、具体的によりよい指導案の検討も行った。各学級での児童あるいは集団レベルでの変化いついての生活指導上の助言も実施した。 5.3学期には、児童の学級認識や学級適応についての調査の実施が終了し、関連する学力・行動上の資料を収集中である。 6.今後、各研究協力者の1年間での変化および学級のこども達の変化を関連させながら分析する予定である。
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