研究課題/領域番号 |
02610082
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
村山 研一 信州大学, 人文学部, 助教授 (80115378)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 地場産業 / 地域開発 / 地域社会 / 一極集中 / 水引 / 飯田市 / 地域産業 |
研究概要 |
1980年代に進行した一極集中状況下での地方圏の産業・社会の現状と将来展望を探ることが本研究の目的である。首都圏の経済的な影響を直接的に受けにくい地方圏の典型的な事例として、長野県の飯田地域を取り上げ、これまでの地域産業の展開と現状について調査を行った。平成三年度は水引製造業についてのインテンシブな調査が中心となった。水引産業は近世後期に成立した飯田の地場産業であるが、近世以降、主要品目を数度にわたり転換させながら、今日に到るまで地場産業としての地位を保ち続けてきた。成長の要因は次の二つにある。(1)生活様式が都市化する過程で、家庭内・地域社会内で作られていた祝儀洋品(水引使用製品)の製造が専門化していき、少数の産地へ集約化されていった。(2)集約化の時期に、飯田周辺においては多数の縁辺労働力が存在していたために、産地化に有利に働いた。水引は国内需要によって成り立っており、景気変動の影響を受けにくいため、地域の経済を安定化する機能をもっていた。水引製品は、地方圏の産業化を下支えするための好適な産業部門であった。しかし、現在、地域人口の高齢化により労働力とくに内職の担い手たる縁辺労働力が圧倒的に不足している。これまでは、地方圏には工業の導入を計るというのが地域開発の主要な手法であったが、今日の地方圏には労働力が圧倒的に不足しており、このような手法は破綻している。そればかりか、地方の産業基盤の維持が大きな問題として浮上している。地方圏がこれから発展していくためには、定住環境を整え、高度な質の人材を集め、既存産業の高度化が必要になる。水引の場合には、労働集約的な性格は変えにくい。それゆえ、(1)デザイン開発による高付加価値化、(2)国際分業の効果的活用、(3)工芸指向的技能者の養成、このような方向で産業高度化を進めて行くことが、問題解決の方向であろう。
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