研究概要 |
1.本研究は,日本有数の豪雪地帯といわれる新潟県中漁沼郡津南町と同じく豪雪地帯の東頸地郡松之山町の2町を対象に実施した。調査は町づくに取組んでいる町内の役場,農協,森林組合,商工会など諸機関,自発的集団の関係者からのヒアリング・資料収集と集落調査を津南町では谷内(54戸),太田新田(37戸),松之山町では上川手(56戸)湯山(45戸)の4集落で実施した。集落調査ではアンケート調査によって町づくり運動,雪と生活に対する地域住民の意識を明らかにした。 2.両町は豪雪,過疎,山村地域という点では共通しているが,地域再生の戦略では,津南町が河岸段丘の大規模地開発,山林資源を活用した木工業,外部資本の導入による観光開発をすすめ,松之山町では古くからの温泉とスキー場など観光開発を主体にすすめている。共通していることは,地域資源の活用によって町づくりに取り組んでいることである。 3.自動車交通が中心となっている今日では道路除雪は地域生活に必須なものとなっている。また農山村の高齢化は肉体的に雪処理能力を低下させ,克雪を困難としている。また農村社会の変化の中で,伝統的な雪に対する地域住民の集団的対応能力を低下させている。 4.両町とも雪を捨てる,融かす,放置するという克雪から,雪のもっている冷たい,熔ける,白いなどの性質を利用する利雪(冷凍,雪ダム,雪祭り,スキー場など)に重点がおかれ,自然資源としての雪の積極的利用が図られている。 5.開発政策がすすめられる中で,開発か自然保護かで住民間の対立,開発資本と住民の対立など地域内紛亊が発生したが,その運動をフォローしたとき,地域住民の民主的自治能力の成長を明確に確認することができた。
|