研究概要 |
ドイツのノルトライン・ウェストファ-レン邦の文部省は一種の統合教科である「政治」科の指導要領を1973年に分布した。本研究では,この指導要領を枠組みとして総合制学校と基幹学校で展開される政治教育の授業の分析を中心にして,指導要領,文部省刊行の授業計画資料,授業計画理論,教科書,教師用教本,補助資料が授業の計画,実施,評価のどの段階にどのような役割を果たすかを総合的に明らかにすること目的としている。 1.指導要領はブランケルツ(W.Blankertz)のカリキュラム理論を基礎とし,シェルケン委員会によって開発されたが,テ-マに即した詳しいカリキュラム分析がなされ,内容を導くマトリックスが加わっている。 2.指導要領は学習目標を基礎としているが,子どもの現実の学習過程に合わないという理由で,ブル-ムのタキソノミ-の分類は放棄されている。 3.ガ-ゲルの授業計画理論における授業段階理論は7段階からなる問題解決学習であり,教科書『見る 判断する 行動する』の授業段階と一致する。 4.多くの教科書は,比較する,調べる,討論するなど,生徒に多様な行動を促す質問を多く含んだ構成となっている。 5.・「新しい青年運動の規模と意義」(ベルリンの第10学年,総合制学校での授業)を分析した。この授業は教師の質問をもとに話し合うことで授業が進行しているので,特に教師の質問から授業過程の構成を分析した。教師の質問はよく階層化されていて,OPHなどの視聴覚教材を用いて生徒の興味を引き起こすように工夫されている。授業ではこのように補助教材が授業の進行に重要な役割を果たす。
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