研究概要 |
わが国産業の今日の生産力段階はME技術に支えられたFA(ファクトリ-・オ-トメ-ション)の段階といえる。そこではいうまでもなくICやマイクロプロセッサ-を機械に組みこんだり、ミニコンピュ-タと労働手段を一体化して,制御を自動化するとともに,汎用コンピュ-タと結合することによってフレキシブルな生産システムを構成し,多品種少量生産の自動化を可能にしている。また,設計と製造の結合がCAD・CAMシステムによって行われつつある。自動車産業と同じ加工組文型産業である電機産業の場合,たとえば源泉工程といわれる加工工程でもMC・NC工作機械を含む各種工作機械の体系が形成されており,その操作には一定の知識と技能が要求されている。組立工程では産業用ロボットが設置され,治具の製作等を必要とし,一定の熟練が要求される。しかし,全体として今日の製造現場では,商品の高機能化と多様化,FA・FMSに対応する生産ラインの再編成など“物づくり"における大転換に直面している。すなわち,各種工作機械の操作と単純労働への分解といったFAラインでの二極分解が生じている。このことは1970年代を境にして,かつての熟練の変貌をもたらした。いいかえれば,「多能工技能者」から「複合技能者」への技能者像の転換を意味した。これは企業内教育のあり方に大きく反映して,ハイテクの進んでいる電機産業や自動車産業では企業内職業訓練短期大学校の設立をみた。高卒1年間の機械科,機械組立て科,金型科という学科から「技術のわかる高度技能者の育成」をねらいとした高卒2年間の生産機械科が設置されるにいたり,メカトロ及び生産システムを重点指向としてカリキュラムが構成された。具体的にはメカトロ技能者の必須条件として機械と電気,コンピュ-タにまたがる専門知識の教育,機械工作の基礎,コンピュ-タソフトの実技等の実習にその特徴をみることができる。
|