研究課題/領域番号 |
02610141
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化人類学
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研究機関 | 米子工業高等専門学校 |
研究代表者 |
坂田 友宏 米子工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (60043577)
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研究分担者 |
永井 猛 米子工業高等専門学校, 一般科目, 助教授 (80164383)
喜多村 正 島根大学, 法文学部, 教授 (60101185)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 同族結合 / 同族祭祀 / 先祖祭 / 鍛冶神信仰 / 楽々福信仰 / 金屋子信仰 / キリン獅子 / 神楽 / 流域のもつ歴史性の差異 / 生業による経済性・文化性の差異 / 社会伝承面における地域性の差異 / 文化の流入経路による地域性 / 地域民の心性形成 |
研究概要 |
1.社会伝承においては族制に関してとくに同族結合のあり方に注目して、因幡・伯耆の地域差を究明した。結論的にいえば因幡においては同族結合的家関係を示す慣行が広く顕著に見られるのに対して、伯耆においてはそれがほとんど認められない。因幡におけるカブ・イットウというのは本家・分家関係からなる同族を呼ぶ称であるのに対して、伯耆におけるイッチ・モットは単に本・分家関係を示すのみでなく、広く姻戚的な関係をも包括する呼称である。因幡においてはカブ・イットウによって結合のシンボルである先祖を祀るカブ講や先祖講が顕著である。ただしこの同族結合の特徴はその機能が同族祭祀という儀礼的レベルに止まっており、生活における相互扶助的な関係は全く認められない。 2.信仰伝承においては鍛冶神信仰をとりあげた。伯耆においては、日野郡を中心にして、孝霊天皇・吉備津彦を祭神とする吉備系の信仰である楽々福神社が古層の製鉄神信仰として存在する一方で、近世以降の出雲系の信仰である金屋子信仰が並存し二重構造をなしている。一方因幡の鍛冶神信仰には物部氏をはじめ古代の有力氏族との関係が強く認められ、とくに北九州の八幡信仰などとの関係も見られる。これは因幡の代表的民俗芸能であるキリン獅子や花籠祭に北九州の宇佐地方との関連が指摘されることともあいまって、因幡の文化の独自の伝播ル-トを考えることが可能である。 3.芸能伝承に関して因幡と伯耆の地域差の顕著事例としては、因幡のキリン獅子・傘踊り・人形芝居に対して、伯耆の神楽があげられる。このうちキリン獅子は前記のように北九州との関係が考えられるが、その他因幡の芸能は人形芝居をはじめとして、主に上方から伝播したものが多く、これに対して伯耆の芸能は神楽をはじめとして備中・備後・出雲との関係が濃厚である。
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