研究概要 |
市民革命並びに産業革命に起因した激動の社会的精神的状況の中で、高い理想を掲げて生涯を通じ、その人生および著作で個としての女性の真のありようを激しく、かつ執拗に追求した3人の、異なった社会階層に属する女性作家(ダニエル・ステルン,ジョルジュ・サンド,フロ-ラ・トリスタン)に照準をあて、彼女たちが社会改革思想に献身するにいたった契機と、その行動の展開を詳細にたどり、析しも興隆期にあったジャ-ナリズムとフェミニズムとのかかわりの中で社会参加の姿を浮き彫りにする、そして、彼女たちの思想と生涯が持つ現代的意義を解明することが本研究の目的である。 今年度は、19世紀に輩出した女性作家の中で、ヨ-ロッパ社会に最も大きな思想的影響を及ぼしたジョルジュ・サンドに焦点をあて、 1^。)やがてジョルジュ・サンドとなるデュドゥヴァン男爵夫人がいかなる契機でジャ-ナリズムと関わりを持つことになったか。 2^。)ジャ-ナリズムを媒体として社会のかかえる政治的諸問題について、時機を逸せず、最も直接的・効果的に発言し、大衆の意識向上、思想形成のために自ら、雑誌を創刊した経緯 3^。)フェミニズムの広がりにもかかわらず、『ナポレオン法典』のもとに女性への抑圧・差別が決して軽減されてはいない、精神史的状況の中で、ジョルジュ・サンドが如何なるメッセ-ジを送ろうとしたか、を考察した。
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