研究課題/領域番号 |
02610232
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
田近 裕子 津田塾大学, 学芸学部, 助教授 (80188268)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 依頼・許可表現 / 貸し・借り表現 / 日英語比較 / borrow / lend / interlanguage / speaker / hearer perspective / hearer emphasis / Norms of Communication / 許可表現・依頼表現 |
研究概要 |
本年度は「貸し借り表現」について前年度までよりさらに詳細な調査を行った。以前の調査では話者と聞き手の親疎関係や、貸借物の重要度によってどのような異なった表現が用いられるのか調べることができなかったが、本年度の調査では、聞き手を1)兄弟・2)友人・3)知人・4)教師にした場合や、貸借物が1)鉛筆(消しゴム)・2)傘・3)カメラ(ネックレス)と重要度に違いのある場合に、どのように表現が使い分けられるかを見ることができるようにした。そのため、これらの要素を盛り込んだ新たな質問紙を作成し、26名のネイテイブ・スピーカーと、64名の大学生英語学習者の言語行動を調べた。 結果としては、貸借物の重要度より親疎関係の方がどちらかというと表現に影響を与えることが分かった。この傾向はネイテイブ・スピーカー、日本人学生とも共通にみられた。ネイテイブ・スピーカーと日本人学生の表現の違いは、前年度までの調査でも明らかだったように、“speaker perspective"をとるか、“hearer perspective"をとるかに顕著に現れた。ネイテイブ・スピーカーは、親疎関係において「親」から「疎」になるに従って、常に“speaker perspective"をとりながら、助動詞をより丁寧なものにしていく傾向があった。一方、日本人大学生は「親」では“speaker perspective"をとり、「疎」になるにつれて“hearer perspective"をとり、さらに助動詞も丁寧さを増すという傾向が見られた。 本年度の調査により、ネイテイブ・スピーカのコミュニケーション・ルールと日本人学習者のそれとの違いが、かなり明確に示されたと言えよう。また、このような言語行動の違いに関する知見は、教育現場に応用し、今後の英語教育指導の一助にすることもできるであろう。
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