研究課題/領域番号 |
02620030
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
森山 茂徳 新潟大学, 教養部, 助教授 (50107497)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 軍政 / 冷戦 / 勢力均衡策 / 分断・分割統治 / 「事大主義」 / 「変革派」(韓国) / 「保守派」(韓国) / 単独国家樹立 |
研究概要 |
本研究は、戦後南朝鮮(韓国)を占領したアメリカ軍による軍政と、韓国諸政治勢力との相互関係を中心として、戦後韓国(1945ー1948年)における政治的変化を、政治史的に研究したものである。 まず第一に、アメリカ軍政は国際情勢の変化、とくに冷戦の進行=ソ連との対抗、および韓国内部の政治的対立などを契機として変化した。当初の民主的朝鮮の確立という基本方針は、やがて韓国の「変革派」の否認、および「保守派」の擁護、次いで「左右合作工作」へと変化し、最終的には南朝鮮単独の国家樹立へと至った。軍政を一貫したものは、韓国政治勢力間に抑制と均衡を築くことであったが、それは結局、勢力均衡策=分断統治にほかならなかった。そしてそれは、戦前の日本の植民地朝鮮に対する統治政策とも、相通ずるものだったのである。 第二に、韓国内部においても、反日独立運動の分裂という戦前の状況、および国際情勢の変化などを反映して、諸政治勢力が相互に分裂・対立した。人民共和国建国を推進した「変革派」も、共産主義者の工作で分裂し、「保守派」もまた、李承晩派、韓民党、臨政グル-プと分裂した。結局この中から、李承晩派が単独国家の樹立を推進して、勝利を得た。その政治的戦術こそ、国際政治の変化の利用と、有力国家の支援の獲得とであった。それは伝統的な「事大主義」の発揮にほかならなかった。 第三に、第一と第二の変化とは、相互に密接に連関した。分割統治と「事大主義」との結合がそれである。この結合こそ、政治的変化の帰趨を決定したのである。しかも、この結合は、その後の韓国政治の動向を決定したばかりでなく、韓国の政治的行動様式を特徴づけることとなった。それらは、伝統的価値観の温存、両班政治的政治行動の継承(経済計画軽視)、ソウル中心の擬似的官僚統治などである。 以上の知見を、成果として、学術雑誌に発表する予定である。
|