研究概要 |
まず都市のオフィス企業に着目し,通信費用の低下と技術パラメ-タの変化という面から情報化の影響を調べた。その結果,通信費用が低下すると,都市内の立地分布は分散化するが,都市規模は拡大する。他方技術パラメ-タの変化による産業の情報化は,企業の立地分布の集中化をもたらし,これが都市規模の拡大と相よって交通量の増加をもたらす。 次に,企業が2つの機能ーー管理機能と常務機能ーーを分離した立地させる可能性を認めた非単一中心の都市モデルにおいて,企業の2つの機能と家計の住宅の立地に関する可能なUrban Configuretionについて,それぞれが現出する条件について検討がなされた。その結果,「情報化」の進展に伴い,常務部門からなされるコミュニケ-ション・トリップは徐々に情報通信技術によって代替されることによってその距離当り費用は低下する。その費用の低下に応じて現出する都市構造は変化する。興味探いのは,「情報化」が最も進展した状況では企業は分散化されるが,2つの機能は分離しないで立地する。この場合,企業がフェイスーツウーフェイスのコミュニケ-ションのためにおこなうトリップ量はかえって増加する。2つの機能が分離されて立地するのは,いわば「情報化」の進展の途中の段階においてである。 次に「情報化」の進展に伴い普及するであろうと思われる「在宅勤務」による労働供給をも考慮した社会で,情報通信費用の低下が都市の空間的構造におよぼす影響を分析した。その際,「在宅勤務」による労働供給は家計の第2のメンバ-である〈housewfe〉によってなされると想定される。都市住民の効用は,情報通信費用の低下の結果必ず増加するが,その他の内生変数への効果は不確定である。特に情報システムの改善によって,都市規模が縮少する可能性がある。
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