研究概要 |
球面または超球面上に分布する重要な分布としてLagevin母集団があり,その母数に関する検定問題を取扱う。 (i)通常の分散に対応する集中度母数に関する検定統計量を各種提案し,その検出竜,%点の導出について論じた。特に平均方向に関する問題はAnn.Inst.Statist.Math(1990)に発表している。これについては統計数理研究所,Research Memorandom No426として発表した。 (ii)いくつかの母集団の判別分析に関しては,集中度母数の等値性を検討することは基本的である。尤度比検定規準を用いてその分布理論を取扱った。集中度母数についてはSteplens(1967)か低次元の場合を論じているが,この問題を任意の次元に拡張した。統計数理研究所,Research Memorandom No 428として結果を発表し,現在数値実験をしている。 (iii)(ii)の問題について,k個の母集団がその確率(密度)関数f(x1Q)を持つ(1=1,2…k)のとき,適当な正則条件を満す場合に,仮説H:Q_1=…=Q_kを検討する牽度比規準について,Hayakawa(1976)の方法を用いてその分布関数の漸近展開を求めた。極限分球は自由度(kー1)のカイ自乗分布であり,1/nの項を求めることにより,分布収束を早めるには各母集団より同程度の標本を取る必要があることがわかった。Pitmanの局所対立仮説のもとで検出力関数を求め,検定が局所不偏であることを示した。結果は1991年12月に開かれた第3回太平洋地域統計会講に報告し,また統計数理研究所,Research Memorandom No 425として発表している。この問題を多母数の場合に拡張することは,Hayakawa(1975)の方法を用いて現在進行中であり,近日中に発表する予定である。この問題はHayakawa(1976)である種の制限条件のもとで取扱っており,Hayakawa(1976)は本研究と対比するとききRobustnessの検討を行なったことになる、故に本研究により導入した制限条件の意味が明確になった。
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