平成2年度は、(1)日独両国の主要な経済統計デ-タにかんする資料調査と基礎分析によって、両国の統計指標体系のデ-タ構造が著しく異なること、(2)経済計画の目的・課題体系と計画指標の対応関係にかんする資料調査から、多くの計画指標が、経済計画の総量的指針的な性格を反映して、マクロ経済指標にもとづいていること、さらには(3)1970年代からの西ドイツの産業構造問題と投資理論争において、多くの調査報告書や研究論文が、構造分析的な経済指標の作成を、産業連関表を分析の対象として試みていることを検証した。 平成3年度は、ドイツ国における旧西ドイツの産業連関表の作成と分析にかんする実地調査によって、(1)ドイツでは、わが国のように政府統計局(連邦統計局)だけでなく、ドイツ経済研究所(ベルリン)等の5大経済研究所によって、それぞれ特色がある産業連関表が作成されていること、および(2)わが国で一般に利用されてるケインズ型産業連関表による最終需要→生産誘発量計測型の分析だけでなく、投資財取引行列型産業連関表をも利用した産業部門間の技術的連関の構造記述・分析的研究が多く行なわれており、設備投資が新しい展開を見せている産業転換期を対象として、技術係数の変動過程を追跡するためには、これまでの産業連関分析法を基本的に見直すことが必要であることを確認した。 そのために、(1)産業連関表の創始者であるW.レオチエフの投入産出理論を再検討することによって、ケインズ型産業連関表の中間財取引型行列だけでなくて、部門間関係を記述する新しい表章形式の必要性と可能性を明らかにし、また(2)わが国の産業連関表についても磁気媒体デ-タによって、産業部門の統合・分割関係を分析し、論文をまとめるとともに、学会において発表する。
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