研究概要 |
本研究の目的は,1930年代のニュ-ディ-ル期における電話通信規制下のアメリカ電信電話会社(American Telep & telegraphe Co.=AT&T)の企業システムの実態を実証的に分析することにより,政府規制の展開が企業の経営構造(=企業システム)に与える影響を考察することである。 電話事業の独占であるAT&Tは,政府による電気通信に対するの直接的・間接的規制に,創業当初から大きくその経営構造は影響され,発展した。合衆国の電気通信規制の発展は,大きくは,1.マン・エルキンズ法の成立(1910年)にもとづく州際商業委員会(ICC)による通信規制の成立期,2.通信法の成立区(1934年)にもとずく連邦通信委員会(FCC)による通信規制の確立,3.1950年代からの規制緩和・通信自由化期として捉えられる。 本研究では,ICCからFCCによる通信規制の確立に対応させて,AT&Tが“規制下の独占"戦略により電気通信の垂直統合体(ベル・システム)を構築したこと明らかにした。今後の研究課題は,史上最大の企業分割と言われるAT&T解体(1984年)を,1950年代からの規制緩和・通信自由化を直接的な契約機としつつも,戦後の電気通信の技術革新,需要構造の変化,グロ-バルな通信事業の再編成という環境変化に対するAT&Tの新たな企業システムの革新=リストラクャリングという視点で分析することである。
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