研究概要 |
整域Rの商体をKとし,A=R〔X〕をR上の一変数多項式環とする.AのイデアルIに対して,I_k=I【cross product】_RK,J=I_K〓Aとおく.I_Kはモニック多項式φ(X)を使って,I_K=φ(X)K〔X〕と書ける.φ(X)の次数をdとし、φ(X)に対して,I_<φ(X)>={a〓R1aφ(X)〓R〔X〕}とおくとI_<φ(X)>はRのイデアルとなる.R上の0でない多項式f(X)=a_0X^n+a_1X^<nー1>+…+a_nがシャ-マ多項式とは,t【not a member of】a_0Rでta_i〓a_0R(i=0,1,…,n)なるt〓Rが存在しないときをいう.これは整数環上の多項式では原始多項式の概念と一致する.以下,得られた結果を箇条書きで示す. 1.R上の多項式がシャ-マ多項式となる幾つかの特徴付け。 2.I〓R=(0)のとき次は同値である。 (1)Iがd次のシャ-マ多項式を含む。 (2)Iは単項イデアルで,I=I_K〓Aとなる。 更に,Rがネ-タ-的なら,この(1)と(2)は次の(3)と同値となる。 (3)I_<φ(X)>が単項イデアルで,I=I_K〓Aである。 3.I〓R=(0)のとき,J=I_K〓Aは,Iに属する多項式の最小次数であるd次のシャ-マ多項式f(X)を使って,J=f(X)Aと書ける。イデアルI′=f(X)^<ー1>I〓Aを考えると,I′〓R≠(0).このとき,Iが単項イデアルであることはI′が単項イデアルであることと同値である.I′〓R≠(0)なるAのイデアルI′に対しては単項イデアルかどうかの判定法が得られている。 4.Rがネ-タ-的素元分解整域のとき,A=R〔X〕のイデアルIでI〓R=(0)なるときは,Iが単項イデアルかどうか判定できる。 5.Rがネ-タ-的のとき,A=R〔X〕のイデアルIに対して,I〓R=(0)となる同値な条件やI=I_K〓Aとなる同値な条件が得られた。 6.その他,いくつかの副産物が得られた。
|