研究分担者 |
原岡 喜重 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (30208665)
岡 幸正 熊本大学, 理学部, 助教授 (50089140)
神島 芳宣 熊本大学, 理学部, 助教授 (10125304)
河野 實彦 熊本大学, 理学部, 教授 (30027370)
前橋 敏之 熊本大学, 理学部, 教授 (90032804)
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研究概要 |
前世紀S,Lie以来懸案となっている微分方程式のGalois理論の確立が目標であった。Galois理論の一般化の問題と呼ぶ。これは本質的に無限次元の理論である。有限次元性の条件のもとでの微分Galois理論は,前世紀末よりE.Picard等によって試みられ,E.Kolchimにより完成した。しかし彼の微分Galois理論は不都合な要素も含んでいる。特に彼は代数方程式の場合のGalois拡大の概念を,微分体の強正規拡大の概念によって一般化しようとする。残念なことに,これが実は一般化になっておらず両者は微妙に食い違う。このような奇妙な現象の生じる理由を追求し,これを除去することも我々は問題とした。 即ち微分体の,抽象体として有限生成な拡大がautomorphicであるという正しい定義をし次が成立するようにする:抽象体の有限次代数拡大がautomorphicである必要十分条件は,その拡大体がautomorphicであることである。これを統一の問題と呼ぶ。 これら2つの問題(一般化の問題と統一の問題)は別々に導入されたが,我々は2つの問題を同様の枠組の内で解決した。Kolchin理論はWeilの代数幾何学の言語の上に建設されている。統一性が失われるのは,ここに原因がある。我々は関手的な手法により,つまりbase changeを使うことにより統一の問題を解決した。一般化の問題は拡大体L/Kから出発して,初期条件についての微分を考えることにより,別の偏微分体L/Kを構成しこの無限小変形を使ってinfinitesimally automorphicの概念を導入することによって解決した。 我々の無限次元微分Galois理論には多くの応用があるものと期待される。
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