研究分担者 |
保倉 理美 横浜市立大学, 文理学部, 助手 (00191122)
藤井 一幸 横浜市立大学, 文理学部, 助教授 (00128084)
一楽 重雄 横浜市立大学, 文理学部, 教授 (30046130)
浅野 洋 横浜市立大学, 文理学部, 教授 (00046012)
中神 祥臣 横浜市立大学, 文理学部, 教授 (70091246)
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研究概要 |
本研究の目的は非負リッチ曲率をもつ連結,完備なリ-マン多様体の幾何構造の研究を行うことであった。Mを非負リッチ曲率をもつ連結,完備なリ-マン多様体とする。Mの連結,コンパクト部分多様体N(一点でもよい)に対し,ある幾何学的量β_Nを導入した。β_NはNのMにおける法指数写像の単射半径ι_N,1次元相対ホモトピ-類π_1(M,N)と密接な関係がある。Mがコンパクトで,Mのリッチ曲率が正,π_1(M,N)≠0ならば,不等式 ι_N≦β_Nが成立つ。等号が成立すれば,NのMにおけるcut locus C_Nは連結コンパクトなMの極小超曲面で,π_1(M,C_N)=0であり,MはNとC_Nの法円板束を接着した構造を持っていることが解る。Mの曲率(リッチ曲率,断面曲率)に制限を加えることによりβ_Nの評価が可能である。このβ_Nの評価を用いてMと定曲率空間の比較が可能となる。以下,Mは単連結でない連結コンパクトなリ-マン多様体で,その断面曲率K_Mは条件:K_M≧1をみたとする。NをMの連結コンパクトな部分多様体とする。Nが一点のとき,β_N≦π/2である。このことから,ι_N≦π/2で等号成立はMが実射影空間(定曲率1)のときであることが解る。Nの次元が1以上の場合についてはβ_Nの取り得る値の中でπ/4に注目し,以下に述べる新しい結果を得た: 準同型写像ι_#:π_1(N)→π_1(M)に対し,G=ι_#(π_1(N))とおく。Gがπ_1(M)の固有な正規部分群であるとき,不等式ι_N≦π/4が成立する。等号が成立するのは,2dimN≦dimMー1のときである。又,2dimN=dimMー1ならば,Mは定曲率空間となり,NはMにおける全測地的部分多様体である。又,C_NはMの極小超曲面,π_1(M,C_N)=0,π_1(M)/G=〓Z^2である。 本研究については,まだ多くの興味ある問題が残されているので,更に研究を進める予定である。本研究で得られた結果は,近い内にまとめられ学術雑誌に投稿される。
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