研究概要 |
表記研究課題に関連したシンポジュ-ム等を開催し,活発な討論が参加者間でなされ,今後への展望を得たことをまず指摘したい。 ここでは,研究代表者が関係した研究成果について報告する.研究目標の1つは磁気流体に関連した問題の滑らかな時間局所解の延長と爆発についてであった。磁気流体の運動方程式は7ケの未知関数をもつ非線形な1階双曲形方程式で,その解の構造は複雑である.そこで,典形的な状況を考えて,方程式系を簡単にして考察する場合が多い.その際,そのモデルとして非線形波動方程式との組合せ(たとえば,ザハロフ方程式系等)を採用することが標準的である. 今年度は上述した一般的状況を念頭におき,非線形波動方程式の滑らかな解の延長と爆発について研究した.その成果は別紙の二つの論文で公表した.その内容は非線形項の中に表れる巾がある特微的な数を境にして,解の挙動が全く相異な様相をとることを示した.既ち,一方では滑らかな解の延長ができ,他方ではどんな小さな初期のデ-タを与えても,必ず有限時間内に解は滑らかでなくなる(爆発が起る)ことを示した.ここで用いた手法は本来の方程式系には直接適用できないが,モデル化した方程式系には応用される可能性を持つ。これが当面の今後の課題である. 研究目標のもう1つである自由境界値問題については,数値解析が少しづつ行われているようであるが,厳密な数学的取扱いは未だなされていない.これも今後の課題である.
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