研究概要 |
“初期値問題がC^∞ー級関数の粋で適切である"ことにより双曲型作用素を決定する(特徴付ける)問題は、多くの研究者が関心を持っている。こゝ25年間に亘る研究代表者のGevrey級関数の枠からC^∞ー級関数の粋にまたがる成果は本質的と思われる。但しそれらは,変数係数の作用素に対しては顕著であるが、定数係数の既知の解析と比較する時,未だ難しい問題が数多く残されていると云わざるを得ない。例えば近年流体の方程式の解析で現われた作用素δt^2+a(t,x)|D|(a(t,x)【greater than or equal】δ>0)は弱双曲型作用素との関連で再検討されるべき内容を含んでいる。 昨年度は典型的な一例としてδt^2+t^<2k>|D|+αt^2|D|^<1/2>に対する初期値問題がH^∞ー適切であるための必要・十分な条件を検討した。 これを編続として当研究室では塩崎(博士課程1回生)を中心として,次の形への一般化に対して明解な結果を示し上記の事情をよりよく説明することに成功した。即ちL=δt^2+t^<2k>|D|+αt^l|D|^n(αεC,k,l:自然数)に対して (1)α【greater than or equal】0ならばLに対する初期値問題はH^∞適切 (2)α<0またはImα≠0の時, (i)m/2【greater than or equal】nならばm/(2n)【greater than or equal】(k+1)/(l+2) (ii)m/2<nならばm/(2n)【greater than or equal】(k+1)/(l+2)&Imα=0がH^∞適切であるための必要,十分条件である。
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