研究分担者 |
内藤 学 広島大学, 理学部, 助教授 (00106791)
宮川 鉄朗 広島大学, 理学部, 助教授 (10033929)
大春 慎之助 広島大学, 理学部, 教授 (40063721)
前田 文之 広島大学, 理学部, 教授 (10033804)
草野 尚 広島大学, 理学部, 教授 (70033868)
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研究概要 |
我々は,この研究課題のもとで,リ-マン面の等角的な埋め込み・あるいはリ-マン面の接続を,ポテンシャル論・微分方程式論的な取扱いにより,また流体力学のような物理学における現象をにらみつつ,研究しようと企てた.分担者の得た業績としては,モンジュ・アンペ-ルの微分方程式の解の研究・熱方程式に対するよりもさらに一般な調和空間におけるグリ-ンの公式の導出・非線形分散系の初期値境界値間題の研究・3次元外部領域における非圧縮粘性流のエネルギ-減衰の研究・エムデン=ファウラ-微分方程式の非振動解の漸近挙動の研究・バナッハ空間の閉線形作用素の研究・単位円板から外部扇形条件を満たす領域への等角写像関数の導関数の境界挙動の研究などを挙げることができる.これらはその自身としてもきわめて重要なものである. 分担者によるこれらの研究成果とともに,代表者は,種数1の開リ-マン面をト-ラスに等角的に埋め込むときに生じる補集合の面積・その全面積に対する比などを詳細に論じ,極値的な性質を明らかにし,変形理論への簡単な応用を与え,さらに以前に与えた接続のモジュラス円板のユ-クリッド的・非ユ-クリッド的(双曲的)な中心のもつ意味を解明した.さらに同心円周が非常に重要な役割を果たすことを示した.大変興味深いことに,ここにおいて用いた方法と考察は,平面領域の等角写像論・単葉関数論においてさえ従来知られていなかった結果をもたらす.すなわち古典理論に範を求めるに留まらず,むしろそれをさらに展開させることができる.スパンとよばれるモジュラス円板の(ユ-クリッド的・非ユ-クリッド的な)直径と面積定理との関係も一般化された。任意の(有限)種数に対して,スパンの連続性や,開リ-マン面の境界のヤコビ多様体における様子についての研究もまた始められた.それらの継続とト-ラスの上でのランキンの卵形の研究は今後の課題である.
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