研究概要 |
研究代表者山本範夫は,[1]で,周期培分岐点の軌跡上に現れる結節点等の特異点が,分岐方程式で定義される平面曲線の2重点として定式化できることを示すとともに,その計算法を提案し,実際にコンピュ-タで特異点を計算した。また,準周期解の特異点および分岐点については,従来,それらの点が生じるパラメ-タ値を直接計算する方法は知られていなかったが,山本は,[2]で,直接パラメ-タ値を計算する方法を提案するとともに,この方法を準周期外力をもつダフィング方程式に現れる特異点,分岐点の計算に適用した。 一方,計算した値に対する誤差限界を与えることは,計算値の精度保証という立場から大変重要である。分担者新島耕一は,[3]で,流線拡散有限要素スキ-ムに対して誤差評価を与えた。この考え方は,流体に現れる渦などの分岐現象を近似する基礎となる。 また,フラクタル図形を解析する道具として,与えられた集合がどれだけ密につまっているかを見るハウスドルフ次元が知られている。ハウスドルフ次元は,ハウスドルフ測度を用いて定義されるが,分担者岡崎悦明は,[4]で,もっと一般な測度について,その構造を研究した。 また,分岐現象を解析するには,解の幾何学的構造を調べねばならない。分担者伊藤仁一は,[5]で,凸領域の幾何学的構造を研究した。 一方,セルオ-トマトンにもカオスとフラクタルが起こることが知られている。分担者乃美正哉は,[6]で,そのセルオ-トマトンの挙動について研究した。 また,分担者井上智恵は,山本が提案した方法に基づき,プログラムを作成し,実際にコンピュ-タで計算を実行し,分岐図を作成し,分岐現象を解析する手助をした。
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