研究課題/領域番号 |
02640203
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
冨田 良雄 京都大学, 理学部, 教務職員 (30217541)
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研究分担者 |
大谷 浩 京都大学, 理学部, 助教授 (80000850)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 星間雲 / CCD測光 / 激変星 / 高速モデム / 天体画像処理 / 星間物質 / CCDカメラ / 高速デ-タ転送 |
研究概要 |
この研究は、従来の写真を用いた観測で得られるデ-タよりも高精度かつ大量のデ-タを観測で得て処理する必要があることから、まづ観測デ-タ取得装置、デ-タ転送システム、デ-タ処理システムの開発、整備から手掛けることとなった。 1990年度には観測を行う大宇陀観測所とデ-タ処理を行う宇宙物理学教室とにそれぞれパソコンと高速のモデムを設置し、CCDカメラで撮影された観測デ-タの転送実験をおこなった。転送に用いたのは大宇陀観測所のCCDカメラで得られた系外銀河の画像で、そのサイズは440キロバイトであった。これを、大宇陀観測所からバイナリ-デ-タのまま教室に転送するに要した時間は約5分で、実効転送効率は11Kbpsであった。現在では、大量の観測デ-タの運搬と保存には光磁気ディスクを用い、緊急性を要するデ-タの転送に高速モデムを用いるようになっている。 1991年度には、観測所に導入されたパソコンと従来の望遠鏡システムを接続して、観測システムを強化することをおこなった。これは、CCDカメラから大量に出力されるデ-タを如何に効率よく取り込んで処理を進めるかが、60cmクラスの望遠鏡でそのマシンタイムをフルに生かして世界に通用する観測を実行出来るかのポイントと考えられたからである。このために、望遠鏡の制御プログラム、CCDカメラの観測プログラムのバ-ジョンアップ、さらにCCD高速測光観測プログラム、観測星図表示天体系索プログラムの自動測光整約プログラムの開発、天文用画像デ-タ処理プログラムのバ-ジョンアップを行った。 これらの装置を用いた恒星の高精度・大量測光観光により得られた結果は、一つは観測装置が写真乾板からCCDカメラに代わったことにより、測光精度がけた違いに良くなり、限界等級も20等近くまで下がり吸収分布図の分解能を1分角まで上げることが可能となった。しかし、現在のCCDチップはサイズが小さくて一度に観測できる視野が大宇陀観測所の望遠鏡の場合約10分角しかないので、数度を超える星間雲の観測は膨大な時間が必要になることがわかった。これを改善するには、望遠鏡の焦点距離を短くして視野を広げる光学系(フォ-カル・リデュ-サ-)を製作し、視野を数倍に広げて観測を行うことが必要であり、今後この方向での研究を進めることを計画している。もう一つの結果は、2次元画像検出素子を恒星の測光観測に用いることの有効性に着目して、加藤、平田が激変星や新星のCCD測光観測を行ったことである。人間が介在することによる時間のロスを極力抑えて効率良くデ-タ取得、デ-タ解析ができるシステムを作り上げることにより、数10秒の時間分解能で大量のデ-タを得た。その結果、激変星に関してはSU UMa型矮新星についてのサ-ベイにより信頼性の高い候補星リストを作成し6個の新しいSU UMa型矮新星を発見し、既知の4個についても周期を新たに決定しなおした。また、それらの光度曲線によりス-パ-アウトバ-スト時に出現するス-パ-ハンプ現象を正確に捉えホットスポット説では説明出ないことをしめした。
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