研究課題/領域番号 |
02640210
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
秋葉 巴也 弘前大学, 理学部, 教授 (60004305)
|
研究分担者 |
柳田 勉 東北大学, 理学部, 教授 (10125677)
二間瀬 敏史 弘前大学, 理学部, 教授 (20209141)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1992年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | スファレロン / バリオン数の散逸 / 宇宙のバリオン数 / ワインバーグ・サラム模型 / ワインバ-グ・サラム模型 / バリオン数非保存 / ワイバ-グ・サラム模型 / 素粒子論 |
研究概要 |
弱電磁相互作用を記述するワインバーグ・サラム模型によると、バリオン数とレプトン数保存則を破る遷移が原理的に起こり得る。しかし、この遷移の起きる確率は、地上の如何なる現象によっても測定できない程小さい。ところが、宇宙進化の過程で、弱い相互作用に特徴的なスケールが凝縮し始めた時に、この遷移は、バリオンをレプトンに変換したり、逆の変換を起こす形で実現し、重要な効果を生じたと推定されている。この効果は、宇宙のバリオン数の非対称性の起源を説明しようとする問題に深いつながりをもっている。バリオン数とレプトン数の和を緩和させる遷移は、スファレロンと呼ばれる不安定状態を経由して起きる。本研究の目的は、Phys.Rev.誌の二つの論文に発表した、スファレロンに関するわれわれの計算を推進することである。同時に、スファレロン過程と整合する宇宙のバリオン数の起源を解明することも目指している。 本研究は、平成2年度から4年度までの間科学研究費を交付されたが、この間に得た主な成果は次の如くである。 1.一般化されたLevinson定理を証明した。4)これによって、スファレロンの周りの場の揺らぎの離散的固有モードの数を知ることができ、ヒッグス粒子のいろいろな質量値に対してスファレロンの自由エネルギーを求める計算が、見通しの良いものになる。また、スファレロン解を与える方程式に起きる分岐現象を研究するときにも役立つ筈である。 2.スファレロン過程とレプトン数を破る過程とが共謀して宇宙のバリオン数を零にしてしまう可能性を分析した結果、マヨナラ・ニュートリノの質量に対する制限を幾つか得た。2)、5)これらの制限は、標準模型の次にくると期待される素粒子模型7)と宇宙のバリオン数の起源についてのシナリオの両方に貴重なヒントを与える。 以上の他に、スファレロン過程に伴ってフェルミオンのエネルギー準位が変動する様子を具体的に示したこと1)、スファレロンに似た配位を用いてボゾン星の構造を記述したこと3)、超対称性大統一理論に基づいた、宇宙のバリオンの起源についてシナリオを提案したこと6)、を本研究の成果として挙げることかできる。
|