研究概要 |
素粒子物理学に由来するVirasoro代数・Kac-Moody代数の表現論は,数学・物理学の両分野においてそれ自体興味ある研究テーマである。本研究課題では,特に,その表現論の成果が超弦模型の構築とそのコンパクト化の考察および臨界現象の可解模型の一般的考察に極めて重要な役割を担うことに着目し,研究を遂行した。具体的には,超電荷Nの超形型代数のVerma module中のnull states構築の一般的処分(加藤-松田の方法)を与えることにより,超共形代数の表現論の数学的解明を行った。まず,平成2年度・3年度の研究成果によって,SU(2)Kac-Moody代数を含むN=4超共形代数の非ユニタリーな表現を許すクーロンガス表現(Feigin-Fuchs表現)の構築に成功した。平成4年度は,その成果を受けて研究を更に発展させた。N=4のクーロンガス表示のVertex op-eratorsを構成し,N=4代数の表現論の展開に是非とも必要なカイラルおよび非カイラルな遮蔽演算子(Screening operators)を全て同定することに成功した。これによりN=4 Kac行列式の厳密証明を試みる基盤が得られた。これらの成果から,N=4代数の表現論におけるBRScohomologyの研究も進めて来た。更に,当該研究との連関において,背後に2次元高度対称性を共通の性質とする可解模型・2次元量子重力等の研究も,新しい展開を期待して押し進めてきた。 これらの研究遂行において,物理・数学の研究者との研究成果交換・研究討論を積極的に実行した。 これらの研究成果は,欧文学術論文として欧文雑誌に公表され,同時に,科学研究費補助金研究成果報告書にまとめた。
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