研究課題/領域番号 |
02640244
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
吉澤 正人 岩手大学, 工学部, 助教授 (30220619)
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研究分担者 |
重松 公司 岩手大学, 教育学部, 助教授 (10221293)
池田 弘毅 岩手大学, 工学部, 教授 (40100979)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1991年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1990年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 薄膜 / アンダ-ソン局在 / 温度計 / 低温 / 強磁場 / 電気抵抗 / 音波物性 / 電波物性 |
研究概要 |
極低温及び強磁場の下で使用可能な温度素子の開発を目的として、さまざまな条件で成膜されたZrーNスパッタ膜の基礎物性を研究した。その結果、明かになったことは次の通りである。 §2.1 ZrーN薄膜試料の分類:ZrーN薄膜の物性が、ヘリウム温度と室温における電気抵抗の比RRによって分類でき、RRの高い絶縁体的試料とRRの低い半導体的試料の間には物性的に明確な差異が存在する。 §2.2 小さな磁気抵抗の起源:ZrーNが注目されるきっかけとなった小さな磁気抵抗を強磁場中で研究した。その結果、(1)磁気抵抗の振舞いは電子の局在で理解できる。(2)低磁場での小さな磁気抵抗は、量子波干渉、LS結合、相互作用等の効果が複雑に相殺した結果である。(3)定量的には弱局在では十分ではない。(4)RRの大きい試料に見られる負の磁気抵抗の原因は、強磁性の発生と関連している可能性が高い、ことが判った。 §2.3 電気伝導度の温度変化の普遍的振舞い:ZrーNの電気伝導度σの温度変化を記述する関数を探る試みをおこなった。その結果、(1)ZrーN薄膜のほとんどの試料は高温においてσ=σ_0+A【square root】Tの関数で整理できる。(2)低温では、全ての試料はσ=σ^*+A(TーTo)^γで記述できる普遍的振舞いをする。(3)パラメ-タAやγ等の間には相関関係が存在する、ことが判った。 §2.4 新しいタイプの弾性異常の発見:弱局在領域及び強局在領域の試料に表面弾性波の音速の異常を観測した。2準位系や局在理論との比較から、この異常とZrーNの物性を支配するアンダ-ソン局在との関係を論じた。本研究により、ZrーN薄膜の物性に関して多くの知見を得ることができた。また、優れた温度計を得るための作製条件に関しても一応の結論が得られた。これらの結果は、基礎・応用両面に大きな寄与をなすものと考えられる。
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