研究課題/領域番号 |
02640281
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
太田 正之輔 九州大学, 教養部, 教授 (30006275)
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研究分担者 |
川勝 年洋 九州大学, 理学部, 助手 (20214596)
本庄 春雄 九州大学, 教養部, 助教授 (00181545)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1990年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 結晶成長 / 樹枝状結晶 / 形態形成 / 非平衡物理学 / 非線形現象 / 拡散方程式 / 界面カイネティックス / 自己相似性 |
研究概要 |
樹枝状結晶の成長形態は非線形・非平衡現象に基づくものであり、特に拡散場の造る形態形成の代表例である。塩化アンモニウム水溶液から成長する4回対称性をもつ樹枝状結晶は過飽和度の増加に伴い、先端成長方向が〈100〉から〈110〉へ転移し、その遷移領域で複雑な先端分岐成長形態を示す。この領域における実験により以下の結果が得られた。1.成長速度は過飽和度に依らずほぼ一定である。2.先端分岐領域が放射状にひろがること。3.結晶先端の包絡線が安定に保たれること。4.規則的先端分岐成長中に不規則先端分岐が混入する場合があり、これがこの領域における先端分岐成長の本質であるのか、実験セル内の濃度の空間的な非一様性によるものか現在のところ不明であり今後の課題である。 拡散場のみの性質で造られるパタ-ンはDiffusionーlimited aggregation(略称DLA)と呼ばれ、自己相似性を有するフラクタル構造を造る。拡散場で成長する樹枝状結晶とDLAの関係を研究するため界面カイネティックスを導入した計算機シミュレ-ションから得られた結果を以下に記す。1.界面カイネティックスが抑制されると〈10〉成長、逆の場合は〈11〉成長の側枝形成樹枝状パタ-ンとなる。2.〈10〉側枝形成成長と〈11〉側枝形成成長の中間領域で先端分岐成長形態が現れる。3.異方性の遷移領域で両異方性の混在パタ-ンとなる。4.更にノイズが加わることに依って、不規則先端分岐成長の等方的DLA形態となる。5.側枝形成、先端分岐、DLAの成長形態は実験結果と酷似している。 先端分岐成長の実験及び計算機シミュレ-ションによって非線形・非平衡系に於ける形態形成のフラクタル性やカオス性を研究することがこの分野の今後の興味ある課題である。
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