研究概要 |
熱及び塩分を拡散要素とする二重拡散流体系の中に生ずる層流からカオティックな流れにわたる流体散逸構造について,流れの可視化を主とする実験的手法によって調べた。 はじめに予備的な実験として,水平仕切板を引き抜く方法で上下層の流体を接触させる方式の熱塩拡散水槽を用いて流れ構造を調べた。ここでは、ソルトフィンガ-の横の間隔(水平波長)が,線形容定論が与える予測値よりも大きいこと,及びフィンガ-型対流についても通常型の熱駆動対流についても水温変動から得られる相関次元は約1.5となって大きな差はみられないことが分った。 後半は主として30×40×5cmの小型水槽を用いて,詳細な可視化実験を行った。この中で,安定密度差比Rが大きいとき(R【greater than or similar】20)水平波長が通常のそれよりも大きいソルトフィンガ-が形成されうることを見出した。通常のフィンガ-の波長はR【less than or similar】50において大体一定となるモ-ドが支配的であるが,Rが大きいとき波長がRとともに増大するモ-ドが存在することが分った。この他,上層と下層で水平波長が異なるフィンガ-層が形成される場合があること,内壁面付近にだけ形成されるフィンガ-があること等を見出した。更に側面加熱と冷却によって誘起される流れがフィンガ-の変形に与える影響を調べた。熱電対によって水温変動の計測を行ない,そのスペクトル解析を行った。その結果,ソルトフィンガ-型の流れよりも通常の熱駆動型対流においてより多くの変動成分が卓越 関連する流れとして,塩水の電解電流と局所移動磁場とのロ-レンツ相互作用で誘導される振動流の挙動を調べ,その形成領域がレイノルズ数と無次元電流密度で限られることを明らかにした。
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