研究概要 |
本研究は,超伝導重力計とレ-ザ-干渉計方式の高精度伸縮計および傾斜計を用いて,地球潮汐から地球の自由振動までを含む広帯域での精密連続観測を実施し,重力,ひずみおよび傾斜にみられるさまざまな変化を総合的に詳しく検討することにより,特に地球潮汐の日周潮帯にみられる流体核共鳴効果の検証をめざすとともに,日周潮,半日周潮および1/3日周潮などの理論的に予測しうる周波数帯以外のスペクトル・ピ-クについて,その特性と物理的意義を解明し,さらに重力,ひずみおよび傾斜変化と地震発生との関連を明らかにすることを目的としている。そのために,本年度に以下のことを実施した。 1.京都大学理学部構内に設置されている2基の超伝導重力計で得られた390日間の観測デ-タを潮汐解析用プログラム「BAYTAP-G」を用いて解析し,潮汐成分,不規則成分およびトレンド成分(ドリフト)に分離した。その結果,M_2およびO_1の主要分潮のδーfactorの差は0.06%以内,位相の差は0.1゚以内であった。しかし,ドリフトについては2基の重力計による同時観測の結果にかなり大きな差がみられ,今後の検討課題である。 2.天ケ瀬および六甲地殻変動観測室のレ-ザ-伸縮計記録に基づいて潮汐ひずみの時間的変化を明らかにし,それと地震発生との関連を調べたが,両者の間に有意な相関は認められなかった。また,天ケ瀬,六甲および紀州地殻変動観測室のレ-ザ-伸縮計で得られた潮汐ひずみの観測結果を4種類の地球モデルについて計算された理論的な予測値と比較した。 3.レ-ザ-干渉計方式の水質傾斜計を開発し,これを京都市北区・上賀茂地学観測所に設置し,地殻傾斜の精密観測を開始した。
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