研究概要 |
人工衛星に搭載するフラックスゲ-ト磁力計をヘルムホルコイル中央に固定したまま飛翔体の運動(スピン,プレセッション)に即して出力させ,磁力計の感度,三軸直交性などの検定を行う目的で実験装置の政策,シミュレ-ションによる評価を行った。三軸ヘルムホルツコイルに補助コイルを巻いて打ち消し磁場の印加量と交流電流による磁場変動量は飛翔体の運動パラメ-タ(スピン,プレセッションの大きさ,周期)および磁場パラメ-タ(磁場の大きさと方向)をパソコンに入力することによって自動的に計算され,電流電源6台の初期値の設定後スタ-トさせれば,コイル中央に固定した磁力計の出力は宇宙空間を運動するロケットや人工衛星に搭載した磁力計の模擬的出力が得られる。これらの値はCRTおよびデ-タレコ-ダに記録され,出力解析を行った。その結果,直交した2軸の印加磁場の制御精度は1〜2秒のスピンに対して0.1度以下の精度で直交しており,また印加磁場の感度精度もコイル定数の誤差以内で制御出来た。プレセッションに相当する長周期(約30秒以上)の振幅変動制御は容易であり,垂直成分変動の制御も可能であることを確認した。また,地上試験での磁力計検定には衛星本体や長いアンテナなどの磁気的影響が完全には除去出来ないので,衛星のフライトデ-タを用いた出力解析からの磁力計の検定方法を開発してきたが,現在飛翔している科学衛星『あけぼの』の磁力計デ-タを使用してのソフトウエアの評価を行った。そして,搭載磁力計の三軸センサ-間の角度,センサ-の感度およびセンサ-に及ぼす磁気的オフセット量を精密決定出来た。これらの決定量を用いて磁場解析を行った結果,非常によい磁場変動の精密解析が出来,飛翔体搭載のフラックスゲ-ト磁力計の解析精度の向上,改良に寄与する一つの方法が確立された。
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