研究概要 |
分子性結晶の表面で発生する第二高調波(SHG)を用いて結晶表面での分子配向を研究することを目的とした。基本波にYAGレ-ザ-からの1.06μmを用い、530nmの光を検出するシステムをつくった。信号があまり強くないことに加えてレ-ザ-の不安定からくるゆらぎがあるので、今回購入したトランジェント・デジタイザを用いて信号の積算平均を行い,よい結果を得ることができた。色素薄膜についてはSHGの入射用依存性,SHGの位相,全反射によるSHGのエンハンスメント,多層膜構造にした際の干渉効果などをしらべ,色素分子の基板に対する配向を議論するデ-タを得た。結果の一部は平成2年12月に行われた「固体・表面光化学討討会」(於大阪大学)にて発表した。また単結晶の表面からのSHGを検出する試みにも成功し,P-ニトロアニリン,Pーシアノニリンなど,分子としての非線形性は大きいが結晶の対称性によってバルクのSHGが禁制になっているような結晶を用いて表面SHGの対称性をしらべている。予備的な結果を得て、現在さらに詳細な測定を行っているところである。デジタル・ディレイ・ジェネレ-タ-は二台以上のレ-ザ-の同期を必要とする測定に非常に有効であった。レ-ザ-自身がもっている同期不安定性(YAGレ-ザ-では1ns以内,エキシマレ-ザ-で5〜10ns)以内に同期を保つことができることがわかった。
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