| 研究概要 |
これまでオレフィン類やヘテロ原子化合物の光増感酸素酸化反応は、合成的に有用のみならず、反応機構の面からも数多くの研究がなされて来たが,炭素ー炭素単結合に代表されるa結合の光酸素化反応は全く研究されていない。本研究において炭素ー炭素やケイ素ーケイ素単結合の光増感酸素酸化反応を検討し,合成化学的価値が高く且つその化学的挙動に興味が持たれる環状過酸化物を合成すると共に、その生成機構の解明を試みた。まず反応基質として酸素に対して親和性の高いケイ素化合物を選び、ケイ素ーケイ素単結合の光増感酸素化反応を検討した。求核的性質が期待される三質環高歪化合物としてジシラシクロプロパンを合成し,その一重項酸素酸化によりケイ素ーケイ素単結合への酸素分子挿入生成物を高収率で得る事に成功した。種々のコントロ-ル実験及び中間体に対する捕捉剤を用いた実験により、酸素化反応がケイ素ーケイ素単結合と一重項酸素のいわゆるaーπ^*相互作用によりパ-オキシ中間体を経由して進行する事を明らかにした。さらに理論計算も合わせて行ない、パ-オキシ中間体を経由する反応機構を支持する結果が得られた。これらの成果を基にして炭素ー炭素単結合の光酸素化反応を検討した。電子供与性置換であるアニシル基を有するシクロプロパンの一重項酸素酸化において炭素ー炭素単結合への酸素分子挿入生成物を定量的に得ることに成功した。種々のコントロ-ル実験や立体化学の検討により酸素化反応の反応機構を解明した。
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