研究概要 |
1.フッ化グリコシル誘導体の合成:ベンジル基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,あるいはアセチル基を保護基として有する1位水酸基遊離の糖誘導体を塩化メチレン中,室温でヘキサフルオロプロペンージエチルアミン付加体と処理することにより相当する保護基を有する各種フッ化グリコシル誘導体を合成した。 2.グリコシルベンゼン誘導体の合成:上記1で合成したフッ化グリコシルとアニソ-ル,1,4ージメトキシベンゼン,あるいは1,3,5ートリメトキシベンゼンを三フッ化ホウ素ジエチルエ-テラ-トで処理することによりそれぞれ相当グリコシルモノ,ジ,あるいはトリメトキシベンゼン誘導体を合成した。また、フエニルマグネシウムブロミドと処理することによりグリコシルベンゼン誘導体を合成した。 3.フラノシル環内Cー1ーO結合の還元的開裂反応:上記2で合成したグリコシルベンゼン誘導体をメタノ-ル中蟻酸を水素供与剤として接触水素移動還元を行った。フラノ-ス誘導体は全て高収率でCー1ーO結合が開裂した生成物を与えたが、ピラノ-ス誘導体は殆んど定量的な原料回収であった。さらに、ピラノ-ス誘導体について、トリフルオロ酢酸を含む酢酸を溶媒として中圧(約10気圧)接触還元を行ったところ水素化分解ではなくベンゼン環の水素添加が起り、シクロヘキサン誘導体が定量的に得られた。このような極端な反応性の違いは非常に興味深い現象でありさらに詳しい研究を続けるべく計画中である。 4.3ーデオキシアルドー2ーウロソン酸の合成:上記3で合成した開環型糖誘導体をオゾンで分解することにより3ーデオキシアルドー2ーウロソン酸類を好収率で合成した。これらの一連の反応を2,3;5,6ージーOーイソプロピリデンーDーマンノフラノ-スに適用して3ーデオキシーDーマンノー2ーオクツロソン酸(KDO)を合成した。
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