研究課題/領域番号 |
02640393
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
花房 昭静 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70033777)
|
研究分担者 |
市原 潤子 大阪大学産業科学研究所, 教務職員 (60110772)
山口 俊郎 大阪大学産業科学研究所, 助手 (40167698)
山高 博 大阪大学産業科学研究所, 助教授 (60029907)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | エナンチオ面区別付加 / 不均一系反応 / キチン・キトサン |
研究概要 |
有機化合物と無機試薬との不均一反応において、アルミナやゼオライトなどの固体表面を担体あるいは反応の場として用いると著しく反応性を高めることが知られている。このような反応促進剤に不斉な場をもつ固体を用いてカルボニル化合物やイミンヘのエナンチオ面区別付加を試み、新しい不斉合成法を開発することがこの研究の目的である。すでに、シアン化物イオンによるイミンへの付加反応においてキラルな生体高分子であるキチンが存在すると、反応が著しく促進され、しかもエナンチオ面区別付加が起こることを見いだしている。今回、担体として、キチン(I)やその脱アセチル体であるキトサンの他に、キトサンのアミノ基に種々の芳香族アルデヒドを縮合させたアリリデンキトサン(II)、さらにそのイミノ基を還元して調製したNーアリ-ルメチルキトサン(III)などキトサン誘導体を試みた。反応はNーメチルベンズアルジミン(IV,1mmol)に対し、固体シアン化カリウム(4mmol)、無水酢酸(1.6ー2.6mmol)および担体(10mmol/n)を用い、ベンゼン溶媒中、25℃で撹拌して行った。その結果いずれの担体を用いた場合にも反応は容易に進行し、得られたαーアミノニトリル誘導体Vは光学活性を示した。興味あることに、担体がIやIIIの場合には基質イミンIVのsi面からシアン化物イオンが付加したRー(ー)体が優先して生成したのに対して、担体IIの場合には逆にIVのre面から付加したSー(+)体が優先した。従って、これらの担体の不斉な環境の場、特にヘキソサミン残基の2位の窒素に結合した置換基が不斉誘導を起こす重要な鍵となることが明らかとなった。光学収率はこれらキトサン誘導体のアリ-ル基の種類によって大きく変化した。現在のところ最も良い結果が得られたのは、mートリフルオロメチルベンゼンメチルキトサンを用いた場合で、52%eeに達した。キトサンを修飾する置換基にさらに適切なものを選べば、今後光学収率の向上が期待できる。
|