研究概要 |
1.ビタミンE(αートコフェロ-ル)関連新規化合物の合成と生体関連抗酸化剤の抗酸化活性の測定 約30種に上る新しいビタミンE誘導体の合成に成功した。これらのビタミンE誘導体およびエストロゲンなどの生体関連抗酸化剤の抗酸化活性をストップトフロ-法を用いて測定したところ、αートコフェロ-ルよりも高い活性を示す数種の化合物を見い出した。 2.フェノ-ル性抗酸化剤における過酸化ラジカル消去速度(K_S)と一重頃酸素消光速度(K_Q)の相関性の発見 ビタミンEを含むフェノ-ル性抗酸化剤について、上記K_SK_Qの測定を行った。K_SとK_Qの対数はそれぞれ抗酸化剤の酸化電位(Ep)或はイオン化電位(Ip)と良い相関を示した。即ち、EpやIpの値が小さい程、大きなK_SやK_Qの値を有し、從って、高い抗酸化法性を示すことが明らかにされた。また、K_SとK_Qの間に比例関係が存在することが見い出された。このことは上記2建の反応における反応機構の類似性を示すものである。 3.生体内における脂質過酸化と防御機構の解明 生体膜内で過酸化ラジカルとビタミンEが反応すると、過酸化ラジカルは還元され、ヒドロペルオキシドとなるが、逆に、ビタミンEは酸化され、ビタミンEラジカルとなる。ここで生じたビタミンEラジカルが生体系でどの様な挙動を示すかについて検討した。即ち、ビタミンEラジカルと、i)ビタミンC、ii)生体関連ハイドロキノン類(ユビキノ-ル、プラストキノ-ル、還元型ビタミンK),iii)不飽和脂質,iv)脂質ヒドロペルオキシド、などとの反応を行い、その速度を明らかにした。また、これらの値の比較から、生体内における脂質過酸化防御の機構について検討を行った。
|