研究課題/領域番号 |
02640399
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
大和 武彦 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (60136562)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1992年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1991年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 架橋芳香族化合物 / シクロファン / 高歪み化合物 / 芳香族性 / 求電子置換反応 / 大環状カゴ型化合物 / ホスト・ゲスト相互作用 / 分子素子 |
研究概要 |
本研究で、tert-ブチル基を保護基として用いることにより、トルエン、アニソール及びハロベンゼンなどの極めて簡単な化合物から、従来合成が困難であった多くの[n.2]メタシクロファン類、[2.2]メタパラシクロファン類及び関連化合物の合成に成功した。特に、8-位及び架橋鎖に種々の置換基を有する[2.2]メタおよびメタパラシクロファン類が反応性及び物性を調べるに十分の量で得られた。 小環状メタパラシクロファンにおける歪んだベンゼン環の求電子置換反応を調べ、構造と反応性との相関関係を明かにした。たとえば、パラ位で結合したベンゼン環はパラ系及びメタ系シクロファンの場合に比べて最も大きな歪みの内在がX線構造解析により明らかにされ、芳香族性の減少による反応性の相違が観察された。さらに、8-位の置換基の種々による反応性及び配向性の相違、歪みの緩和を伴う骨格の異性化など通常の芳香族化合物では見られない異常な反応性を明らかにした。また、8-位にあるハロメチル基の反応性に及ぼす反対側のベンゼン環のπ-電子による非結合性相互作用が加溶媒反応および架橋鎖に種々の官能基(カルボニル基・二重結合・三重結合)を導入し、歪んだ架橋鎖に組み込まれた官能基の反応性を明らかにした。 上述の成果を基にして、全く新しい型のホスト機能を持つ大環状シクロファン類を分子設計し、環径の大小及び置換基の種類などと包接能との関係の解明を行った。機能化された大環状シクロファン類は有機分子や金属原子に対してホスト化合物として作用し、分子形、金属イオンのサイズ、金属イオンの分子軌道などの差異によりゲストを識別する能力を持つことが明かとなった。 さらに、本研究で合成した化合物のX線構造解析をおこない構造と反応性・機能性との相関関係を解明するなど、着実に目的とする研究成果が得られ、架橋芳香族化合物の化学に重要な示唆を与えている。これらの成果の一部は国内外学会及び化学雑誌に公表し、高い評価を挙げることが出来た。
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