研究概要 |
本研究で実施した研究内容と成果は以下の通りである。 1.火山性酸性土壌(13試料,pH:2.8ー3.9)と対照土壌(9試料,pH:4.1ー4.7)から土壌有機物(腐植酸)を常法(アルカリ抽出法)により抽出,精製した。 2.土壌有機物に含まれる硫黄含有官能基の分析法を確立した。本研究で分析が可能となった硫黄の形態は,硫酸エステルS,スルホン酸S,チオ-ルS,炭素鎖S,及び有機物に灰分として含まれるパイライトなどの無機Sである。分析法の概略は次の通りである。硫酸エステルS:塩酸がこの官能基を選択的に加水分解することを利用して分析する,スルホン酸S:Ba^<2+>が強酸性官能基(硫酸エステル+スルホン酸)に選択的に結合することを利用してその合計量を洗ず測定し,硫酸エステルS含量を差し引いて求める,チオ-ルS:DTNB試薬と反応させ,生成した発色物質を有機溶媒に抽出分離して分析する,炭素鎖S:全有機S含量から前記3種類の官能基含量を差し引いて求める。また,灰分の無機Sはパイライトとして,塩化スズー亜鉛ー塩酸を用いる還元気化法により測定した。 3.2.の分析法を1.の試料に適用した結果,酸性土壌の腐植酸は,0.56±0.21%(13試料の平均)の全量S,0.53±0.19%の全有機S,0.28±0.16%の炭素鎖S,1500±360ppmの硫酸エステルS,740±610ppmのスルホン酸S,270±110ppmのチオ-ルS,及び350±170ppmの無機Sを含むことが明らかとなった。対照土壌の腐植酸と比較した結果,火山性酸性土壌では,炭素鎖S,スルホン酸S,及びチオ-ルSの含有量が高く,硫酸エステルSは殆ど差がなかった。
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