研究概要 |
2座配位ホスフィン(diphos=Ph_2P(CH_2)nPPh_2)を配位子とする白金およびパラジウムのイソシアニド錯体[M(RNC)_2(diphos)]^<2+>を電気量や電位を規制することにより、電極環元をおこない,種々の錯体を合成した. 1電子環元に相当する電流を通じると2核錯体[M_2(RNC)_2(diphos)_2]^<2+>が生成する.n=1(dppm)ではdiphrsoが2個の金属に配位した錯体が,またn=2,3,4では1個の金属にキレ-ト配位した構造の錯体がえられた、1.5電子環元では3核錯体[M_3(RNC)_4(diphos)_2]^<2+> cn=1.24),[pt_3(RNC)_2(diphos)_2]^<2+> (n=3)がえられた,n=1ではAーfrome錯体が,n=2,3,4では直線型構造の錯体がえられた,特にn=3の構造はまん中の白金が配位子をもたない“裸の金属"であることがX線結晶構造解析から明らかになった.このような裸の金属をもつ錯体は初めての例であり,不均一系触媒反応において,分子が触媒サイトに吸着している周辺にあるunadsorbed siteの電子状態のモデルとして有用な錯体であると考えられる 2核および3核錯体の立体構造および電子状態についての知見をえるためにモデル錯体を想定して,分子軌道計算をおこなった.二核錯体において,その立体構造は2個のMP_2C面が互に直交しているが,計算の結果,この構造の安定性が確認された.また,裸の白金錯体において,まん中のPtと外側の2個のPtの間に電荷の局在化が示された.ESCAの測定により,この事実が証明された. えられた2核錯体に対してd^<10>ML_2(M=Ni,Pd,Pt)との反応では金属一金属結合へのML_2 fragmentの挿入がおこり,3核錯体がえられた.また,RNCとの反応では同称に挿入反応がおこることを見出した.
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