研究概要 |
1.ラン藻Anabaena variabilis M3のゲノムDNAライブラリに対して,differential screeningを行い,低温誘導性遺伝子lti2,lti46,lti39等をクローン化した。 2.lti2とlti46の塩基配列を決め,S1法によって転写領域を確定した。lti2は約2.0kntの転写産物を生じ,これには552個のアミノ酸残基からなるポリペプチドがコードされていた。lti46には約0.7kntと約1.6kntの転写産物を生ずる転写単位が隣接して存在しており,さらに両者を含む2.5kntの長い転写産物も検出された。0.7kntのRNAには119アミノ酸残基からなるorfが含まれ,1.6kntのRNAには179個(orf2)と215個(orf3)のアミノ酸残基からなる2個のorfが含まれていた。既知のアミノ酸配列のデータベースとの比較では,lti2のorfはαアミラーゼと,またlti46のorf2は細胞表面抗原とそれぞれ相同性を示した。 3.これらの遺伝子の低温による発現制御をノーザン法とS1法によって調べたところ,lti2とlti46の両者とも低温シフト後1時間以内という早い時期に強く発現すること,この発現は一過性であり,一定温度の定常状態では転写産物は謹かしか蓄積しないことが判明した。 4.遺伝子の転写レベルでの制御を調べるために,lti2のプロモータ部分をルシフェラーゼ遺伝子のコード領域につないだキメラ遺伝子を作って,Anabaenaに形質転換した。ルシフェラーゼ活性は低温によって約10倍に高まったが,低温の定常状態でも高い活性を示した。さらに詳細な検討が必要であると思われる。
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