研究概要 |
(1)異型胞子シダ植物であるサンショウモ(Salvinia natans L.)、デンジソウ(Marsilea quadrifolia All.)を用いて、雌性、雄性細胞培養系を誘導して造卵器、造精器分化の誘導を行いそれらの器官分化と染色体(遺伝子)との制御機構を研究することを目的とした。そのためにこれらの植物の無菌の雌性前葉体、雄性前葉体、胞子体の誘導と培養を試みた。また、これらの無菌の植物体から酵素処理を行いプロトプラストの単離を試みた結果、サンショウモでは分裂誘導とカルスを得ることができた。 (2)同型胞子シダ植物を用いて本研究目的の先導的実験を行った。カニクサ(Lygodium japonicum L.),モエジマシダ(Pteris vittata),コウヤワラビ(Onoclea sensibilis),アネミア(Anemia phyllitidis)などを用いて、プロトプラストの単離条件の検討と培養条件の検討を行った。前葉体のプロトプラストからの再生体は前葉体であった。また、胞子体のプロトプラストからの再生体も前葉体であり、無胞子生殖(apospory)を示した。無胞子生殖により誘導された同一前葉体には造卵器、造精器が形成された。モエジマシダとアネミアでは前葉体、胞子体それぞれから非常に増殖の高く、柔らかい(friable)カルスを誘導することができた。これらのカルスを用いると、前葉体や胞子体を用いるよりも多量のプロトプラストを得ることができるようになった。そのほかに、カニクサの無胞子生殖により得られた誘導前葉体からの造精器から精子を採取し、フォイルゲン染色、DAPI染色により顕微蛍光測定した結果、明確にDNAの2倍性を示すデータを得ることができなかった(投稿準備中)。 (3)花粉母細胞を用いて減数分裂とポイソメラーゼIとの関連について検討した。
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