研究課題/領域番号 |
02640547
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
渋谷 達明 筑波大学, 生物科学系, 教授 (00015512)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 前大脳 / キノコ体 / 性フェロモン / ケニヨン細胞 / 嗅覚系ニュ-ロン / ワモンゴキブリ / カイコガ / 昆虫 / シナプス |
研究概要 |
昆虫は梯子型結経系を持っており、各体節毎に神経節が存在する。その頭部にみられる脳もいくつかの神経節の集合である。しかしその内部にあるニュ-ロン数は、脊椎動物のそれに比して桁違いに少ない(3〜4万個)。それにもかかわらず刺激に対応してきわめて的確に行動を発現する。本研究では比較的高機能を持つ前大脳の構造と嗅覚系ニュ-ロンの匂いに対する活動および神経走行経路の解明を目的としている。ワモンゴキブリ等の前大脳部位の主構造物であるキノコ体の連続切片(10〜12μm)による染色標本を作り、40〜70フレ-ムの像を写真撮影した後、同倍率で拡大しキノコ体の形態をトレ-スした。それらをコスモゾ-ンシステムによってセンサ-でパソコンに入力し画面上に3次元立体像を描かせた。昆虫のキノコ体は種によって著しい相違がみられた。ハチ類やゴキブリ類のそれは大きく、形態的に複雑であったが、ガ類やトンボ類では比較的単純であった。ワモンコギブリでは、左右2対2の傘部は凹凸が著しく、柄部も太く発達していた。特にα葉は長く上部まで延びていた。ミツバチ(働きバチ)のキノコ体は同様に傘部が発達していたが、α葉は短く先端は丸みを帯びていた。β葉の形は両者で似ていた。そしていずれも無数のケニヨン細胞が傘の上部に密集していた。一方ガ類等のキノコ体は、傘部の凹凸が少なく偏平で、左右1対のみであった。電子顕微鏡による観察で柄部内の神経繊維走行は明らかになったが、他の部位との繊維走行の連絡は不明の点が多かった。キノコ体の種による相違は、種の行動パタ-ンと密接な関係があり、特に社会生活を営む昆虫に発達が顕著であることなどから、条件反射の成立や単純な記憶等に関連していると考えられる。
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