研究概要 |
両生類の視床下部ホルモンの単離と同定、その生物活性を明らかにするにするにはin vivo、in vitroの系においてこれらのホルモンが作用した結果、下垂体から放出されるホルモンを定性的、定量的に測定する必要がある。その第一段階としてすでに構造決定したウシガェルの二種の性腺刺激ホルモンのα,β鎖対する抗体を作製し、ラジオイムノァッセイ系を確立した。ごく最近になってウシガエルの甲状腺刺激ホルモンの単離に成功した.その含量はLH,FSHに較べて数%にしかすぎず全構造決定には至っていない.現在合成ペプチドを用いて特異的抗体を作成準備中である.ウシガエル副腎皮質からAldosteron放出活性を指標に単離、構造決定した物質はPOMCのNー末端由来のいわゆるNPPであった.しかしながら、いわゆるACTHの存在を確認することはできず,αMSHの分解産物及びCLIPは得られた.このことからウシガエルにはいわゆるACTHは存在しないのかも知れない.現在そのラジオイムノアッセイ系を確立準備中である。同様な指標により、ウシガエル,アフリカツメガエル下垂体中後棄からアルギニン・バソトシンおよびその関連ペプチド(Hydrin1,2),あらたにHydrin1,2の中間体(仮称Hydrin1ー1/2)も単離した.これらの物質の生物学的な作用には差があることも解かった. 一方でウシガェル成体の視床下部約3000個の集積を行ないその一部を用いて酸抽出物をゲル濾過,イオン交換クロマトで得られた各分画を用いてin vitroの系で下垂体から放出される性腺刺激ホルモンの放出をαー鎖の定量により測定した。その結果、このアッセイ法で十分視床下部ホルモンの同定が可能なこと、実験動物の反応性が発育のステ-ジで異なることが明らかになった.現在ウシガエル性腺刺激ホルモン放出ホルモンの精製を進めている.本年度はバイオアッセイに用いる若い成体を入手しにくく最終的な視床下部ホルモンの検定には至らなかった.
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