研究概要 |
筆者らは,過去7年東北地方に分布する鮮新世火山岩層の調査研究をすすめてきた.その結果,東北地方には少なくとも13個の火山岩層を確認し,以後新たにその数を増やし続けている.すなわち北より,青森県では碇ヶ関,東目屋,高堂山が,岩手県では稲庭岳,高倉山,御月山,青の木森,国見山,荷葉岳,宮城県では七ッ森,福島県では笹森山大名倉山,博士山などがそれである.鮮新世火山岩層として位置ずけるためには,上位および下位層との生層序をふくむ層位学的な関係をできるだけ明確にすることを,第一義的に考えた.その上で放射年代ときには古地磁気学的な手法をあわせもちいて正確を期した.この作業は同時に,火山岩層の堆積環境,すなわち陸上あるいは湖沼性,または海底かの環境の情報を得ることができた.これらの鮮新世火山岩層は,第四紀火山の分布域に重なっており,しかも多くの点で似ていることが分かってきた.さらに日本列島に分布する鮮新世火山岩層を整理し,造構運動とのかかわりで,その活動をまとめた.広く知られている鮮新世に活発化したとされる島弧運動に,この時期の火山活動が深く関連していることがわかった.また,日本弧に限らず広く東アジアにも追跡が可能とおもわれるので,現在ひき続き研究を進めているところである.
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